パン屋のためのブログ集客術

目次

近くに住むお客様が多いパン屋のブログは、地元の検索にも対応しながら自分のお店のブランディングを高めるための運用をしましょう。ポイントは「検索対応」、すなわちお店やパンの個性そのものを表現出来ること、また「ショップ機能」を併せて用意して全国のお客様にも販売出来るようにすること、この二点を中心に具体的なブログの公開方法と記事の書き方を紹介します。

1) ブログを運営するメリットと作り方

スマホが浸透してお客様は自由に情報収集が行えるようになりました。検索サイトの利用はもちろん、ちょっと気になったお店があればインターネット検索をして、商品やお店の情報を得ることが出来ます。お店の外観が素敵と感じたら、オーナーやどんなパンがあるのか調べます。検索ワードは「地域名」「パン屋」あるいは店の屋号です。ホームページやブログを見つけて、情報を見ているのです。

そこで、無料で作れるブログを見たお客様に来店してもらうために「タイトルの変更」「ホームページへの誘導」「ショップサイトへの誘導方法」を具体的に紹介します。

1 ブログ開設のメリット

ホームページは一度作ると、なかなか更新しないものです。グーグルの上位検索条件のひとつは、豊富な情報量と情報の更新です。更新という点で、簡単な記事を加えていくブログは比較的簡単だというメリットがあります。たとえ、ホームページを開設していなくてもブログだけあればホームページの代わりにもなります。

2 無料ブログのタイトルを入れ替える方法

一般的なブログは無料ブログを使うので、デザインテンプレートから選んだ簡単なブログを公開することが多いでしょう。タイトルとショップ名だけ書き込めば完了です。

3 ホームページとの連動

クリックすることでお店のホームページへの誘導するために、記事の途中の写真やキーワードにリンクを付けておきます。ブログ記事を書く欄の上に「リンク先(マーク)」があるので、キーワードや写真を選択してボタンをクリックするだけで出来るようになっています。

4 ネットショップとの連動

ネットショップがあれば、記事からクリックできるようにしましょう。

購入を促すためには、コピーライティングが重要になります。そのため、ある商品を売りたい場合、ブログ記事と合わせて、記事の最終行に「商品のご購入はこちら」といった案内をする方が効果的です。

売れるようにするためのライティング術は後述しますが、ショップ誘導のための大きなバナーを設置することは止めましょう。品格が疑われ、「どうせ売りたいページだ」という判別につながり、お客様は離れていきます。

店名やパンの種類から検索をしてブログにたどり着いたお客様は、潜在ニーズに対する答えを求めています。例えば、「美味しいパンの作り方」かもしれません。欲しいのは、「温度は○度ぐらいがふっくらとする」などプロが教えるポイントです。そういうニーズに対する答えがあって初めて、「そう言われると、このパンはやっぱり美味しそう。どんなものか味わってみたい」と思うようになるのです。

2) ブログ記事の書き方と検索ワードのチェック

ブログ記事は、タイムリーなニュースとともにニーズに応える記事を蓄積しましょう。お店のブログで「近所の花が咲いた」「猫がのんびりしていました」という記事をよく見かけますが、一般的には必要ありません。ネタがないときは無理して書く必要もないし、パンに関する情報でお客様に喜んでもらえることだけを意識すれば良いのです。検索して訪れる来訪者の多くは、パンに関する情報を求めているのです。最初に、花や猫を愛する店主の人柄や店主名で検索することはほとんどありません。

1 カテゴリーの決め方

記事を分類するためのカテゴリーは、5~10個程度が良いでしょう。あまり細分化しても、ダブりが出てきます。マーケティング用語のひとつに「MECE(ミーシー)」という言葉があります。「漏れがなくてダブりもない」という意味です。

あまりかしこまらずに、「お店の紹介」「生地の練り方と焼き方」「新商品の紹介」「パンの美味しい食べ方」「パーティで好評の美味しいパン」など、検索ワードと生活シーンを意識して考えてみましょう。ここが、ブランディングとつながる重要なところです。「売れそうだから」あれこれ方向性を変えるということは、町のパン屋には向きません。売れることを優先させずに、自分自身をブランディングすることを基本に記事を書きます。媚びらない、これがお店の個性の確立と評価を高める基本です。

2 タイトルと記事の書き方

ブログの検索上位を狙うときに、タイトルは重要です。全国のお客様の検索はもちろんですが、地元のお客様、特に女性客が好むキーワードをタイトルに入れることが必要です。「○○(地名)の隠れ家パン屋」とか、「メロンパンの種類が豊富な○○のパン屋」など地名と女性が検索しそうなキーワードを組み合わせて作ります。タイトルの変更は自由にできますが、基本は一度決めたらそのまま運営するので、自分が得意とするパンやおすすめのパンのイメージと直結する言葉を選びます。

3 記事の書き方~理由を添えることが信頼につながる

美味しいパンの焼き方を伝える記事と、売り込みたいときの記事の書き方とは少し違います。

起承転結など文章のセオリーを優先させる必要はありません。美味しいパンの焼き方なら、「美味しいパンの焼き方のポイントは3つあります」だけで十分です。タイトルも同じです。「1.温度」というのであれば、その温度と、理由だけ簡単に紹介しておきます。理由を加えることが重要です。

こういう簡単な記事の積み重ねが、お店への信頼となるのです。

売り込みたい記事は、材料となる小麦粉を前面に打ち出すのではなく、パンが美味しくなる理由を先に書いて、最後に「だから選んだのが○○産の小麦粉です」で終了します。お客様は、売り込みではなく「だから美味しいのだ」とすっかり信頼してしまうのです。

4 検索ワードのチェックは忘れずに

無料ブログであっても、来訪者数と検索ワードのチェックが出来ます。来訪者数は多いに越したことはありませんが、それよりも重要なのは検索ワードです。お客様ニーズを分析して、新しい商品開発にもつなげましょう。

3) 販売促進を強化するブログ活用術

販促セールを開催するときには、ブログでも案内をします。また、セール期間中はお客様との簡単なコミュニケーションも紹介すると、記事に臨場感が生まれます。セールの賑やかさが読者に伝わるメリットもあります。

1 常連客にはタイムリーな情報も提供

ブログのメリットは、スマホで簡単に情報が収集出来る点にあります。全国のお客様や毎日更新されるとは限らないお店の情報を得たいお客様だけの利用ではありません。本当に利用していただくようにするターゲットは、地元の常連のお客様です。

このテーマ(話題)を最後に持ってきたのは、ブログが全国の不特定多数のお客様を集めるためだけの記事になってしまうとつまらないものになることを防ぐためです。

ブログの基本は、美味しいパンが焼き上がる情熱をしっかり伝えることです。そして、いつも来店されているお客様をもっとも大切にすることが基本です。

常連のお客様向けに「本日、雨のため午後5時30分から半額セールを実施します」という告知を載せて常連のお客様へのサービスセールを案内することも出来ます。

ただし、普段から「ブログを見たら特別セールも掲載されている」ということを知ってもらう努力を忘れてはいけません。ブログを販促ツールとして使うためには、思いつきではなくブログも活用したタイムリーな情報も発信するという、自店の販促モデルとして定着する必要があります。

2 ブログを見ないお客様にも配慮を

こうした特別セールは、スマホを使わないお年寄りたちに情報が伝わらない結果を生みます。ブログを見ない人も大勢いるということを意識して、お客様を公平に扱う必要があります。

ブログを見ないお客様には、毎月1回はニュースを発行して、「雨の日に特別セールを実施した」ことなどを報告しましょう。すると、雨が降ると問い合わせもあるかもしれません。無視しない、情報を見ないと損をしてしまったというお客様に対する配慮は絶対に疎かにしてはいけません。

まとめ

ホームページやネットショップ、ブログやSNSなど、小さな専門店でも情報発信ツールはいくらでもあります。しかし、インターネットを使わない、見ない人が多いことも事実です。情報発信のしくみと効果を検証しながら、自店の販促モデルとして活用する最適な方法を考えることが基本です。経営方針とともにパンをどのような方に提供したいのか、いつも頭にイメージしながら集客のしくみを作ります。つまり自分のお店のブランディングと直接つながっていることを忘れないようにしましょう。